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色の逆転クオリアの反証

人間が抱く色への印象が先天的であれば「色の逆転クオリア」の反証になるのでは? と考えたので言語化します。

 

色の逆転クオリア

 

目の前にリンゴがありますね。

 

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あなたにはこのリンゴが何色に見えますか?

 

恐らく「赤色」と答えるでしょう。

たった今、リンゴの発する波長約700 nmの光が網膜によって電気信号に変換され、脳に伝達されました。そして、あなたの脳は「赤さ」を感じ取ったのです。この脳が感じ取った「赤い感じ」を色のクオリアと呼びます。

 

しかしながら、全ての人がリンゴを見てあなたと同じクオリアを感じるとは限りません。例えば、私がリンゴを見たときに感じる色のクオリアは、あなたにとっての「青色」かもしれないのです。

あなたも私も、同じリンゴを指差して「赤色」と言うでしょう。しかし、二人の脳が感じているクオリアは違っています。仮に、リンゴの色をトマト色と言っても無駄です。私にはトマトもあなたにとっての「青色」に見えているのです。

会話が通じていても、各々が感じている色のクオリアは違うかもしれない。

このような問題を「逆転のクオリア」と言い、証明しようのない問題とされています。

 

色に対する先天的印象

 

話は変わって、色に対するイメージについて。

女の子はピンクと青のどちらが好きでしょうか。恐らく、多くの女の子がピンクを選ぶでしょう。ピンク色は女の子の色、青色は男の子の色というイメージが私たちにはあります。

イギリスの神経科学者、アニャ・ハーバートとヤズ・リンは、この謎を実験的に検証しました。国や年齢の異なる被験者に対し、様々な色の中から好きな色を選んでもらう、というシンプルな実験です。

実験の結果、国や年齢を問わず、女性は赤系統の色を選択しました。また、男女の違いを理解していない赤ん坊に対しても同様の実験を行ったところ、男の子は青系、女の子は赤系を好むという結果が得られました。

このことから、私たちの色に対して抱く印象には先天的な要因も作用していると言えます。

 

では、先天的な要因とは一体なんでしょう。

ハーバードとリンは、アフリカに住む人類の祖先が関係していると考えました。約1万年前、サバンナに住む女性は野菜や果実を採取する役割を担っており、女性は赤く熟した果実に見慣れ、また男性は狩りに適した晴天や貴重な水源の色である青を好んでいたと考えられます。そしてその遺伝子が私たちに刻まれていると言うのです。

 

 

逆転クオリアの反証

 

色に対する印象に先天的な要因が関わっているとするなら、祖先が熟した赤い果実を見て感じたクオリアと、私たちが赤い色を見て感じるクオリアは同じ「赤色」のはずです。もし祖先が熟した果実を見て、私たちにとっての「青色」のクオリアを感じていたとしたら、私たちは青色に対して女性の好む色というイメージを持つはずです。ゆえに、祖先と私たちの感じるクオリアに差異はない、つまり、全ての人類は共通のクオリア感じていると言えます。

 

以上、「人間の色への印象が先天的要因に依る」のなら、逆転クオリアは反証されるかもしれない、というお話でした。

 

おしまい